Episodes

  • EP. 601『@袋井市 、其ノ四 - チンゲンサイ・空心菜・スーラータンメン』
    Apr 9 2026

    スーパーの野菜売り場で、どこか心を和ませてくれる、青梗菜。やわらかな葉とシャキシャキした茎、その穏やかな佇まいは、まるで鳩のようなやさしさを感じさせます。静岡県袋井市は、日照時間の長さと豊かな水に恵まれた青梗菜の名産地。青=緑の葉、梗=しっかりとした茎という名前の通り、その食感と味わいは、土地の力をそのまま映し出しています。一方で、同じくシャキシャキとした食感が魅力の空心菜は、中が空洞になった軽やかな食べ心地で、いくらでも食べられてしまう不思議な魅力を持っています。青梗菜のやさしさ、空心菜の軽やかさ。そのあとにいただく一杯のスーラータンメン。シャキシャキとした食感と酸味が、体と心を整え、午後への力を与えてくれます。

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    9 mins
  • EP. 600『@袋井市 、其ノ三 - おいしいお米、きぬむすめ』
    Apr 8 2026

    その土地のお水がおいしくないとおいしいお米はできません。袋井市も水に恵まれ「きぬむすめ」というおいしいお米が穫れるところです。一方、水が豊富にあるということは、恵みである反面、害もあります。袋井は歴史的に何度も水害にあっている場所でもあります。特に1860年の台風による高波では甚大な被害を受けました。その被害を受けて、先人たちは、街の中央に緊急避難場所になるよう「山」を作りました。

    それは「命山(いのちやま)」と呼ばれています。当時作られたものが残っています。また、2011年の東日本大震災を契機に「平成の命山」も整備しました。命があるからこそのおいしいお米だと実感することができます。

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    9 mins
  • EP. 599『@袋井市 、其ノ二 - マスクメロンは麝香の香り』
    Apr 7 2026

    「マスクメロン」のマスク、実はかぶるマスクのマスクではありません。MUSK。つまり「麝香(じゃこう)」のことなんです。イギリスから日本に入ってきたマスクメロン。英国人が「MUSK」をマスクと発音していたこと、そしてマスクメロンの香りが「麝香」に似ていたことからこの名になったんだそうです。袋井市はマスクメロンの名産地です。「静岡クラウンメロン」は品質の高さが日本でも有数と言われています。一本の茎にたった一つの実にして育てる栽培法で、おいしくみずみずしいマスクメロンの中でも超特級品です。甘くてとろっとしていますが、ちょっと粉っぽいという独特の味。これが良いんです。可能ならジャコウジカの腹部から採られるという「麝香」の香りを嗅いでから、この「クラウンメロン」の香りを比べてみてください。

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    9 mins
  • EP. 598『@袋井市 、其ノ一 - たまごふわふわ、袋井宿』
    Apr 6 2026

    今週は静岡県袋井市のお話。今日は、江戸時代から伝わる料理「たまごふわふわ」のお話。袋井駅前には正岡子規の句碑もあり、風情ある町です。駅近くの寿司店「山梨屋」では、この名物が味わえます。開店前から人が並ぶ人気で、注文して20分ほどで登場。お椀からこんもり盛り上がるメレンゲ状の卵が出汁にのり、上にはセリが添えられています。ふわっと軽い口当たりながら、とても熱く、思わず「あつっ」となる一品です。この料理は江戸時代の「仙台下向日記」にも登場し、東海道の中間に位置する宿場・袋井で旅人を癒してきました。ご飯や味噌汁とともに出される、ほっとする味です。子規の句にも通じるやわらかな空気の中で、ぜひ味わってみてください。

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    9 mins
  • EP. 597『@おいしさ、磨く 、其ノ四 - 磨くおいしさ』
    Apr 2 2026

    お米は磨くことでお酒へと姿を変えます。外側を削り落とし、中心の澱粉質を引き出すことで、その価値は一段と高まる。“磨く”という行為は、時間と手間をかけて、本質を際立たせることなのかもしれません。その考え方は、身近な食材にも通じています。人参は外側に甘みが蓄えられ、大根は部位によって味わいが異なる。どこに旨みがあるのかを知り、使い方を工夫することで、同じ一本の野菜でも味は大きく変わります。春を迎え、新しい季節のはじまり。自分自身を磨くように、味覚もまた磨いていきましょう。

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    9 mins
  • EP. 596『@おいしさ、磨く 、其ノ三 - 北海道・遠別町のお米と沖縄・石垣島のお米』
    Apr 1 2026

    日本の南・石垣島では今ごろ、稲の田んぼは一面緑色です。1月に植えた苗を5月中旬に収穫します。超早場米と呼ばれ、日本で一番早くお米が実る場所です。一方、日本の水稲栽培の「北限」である、北海道遠別町では、田植えは5月の末から6月の初め。刈入れは9月末から10月初旬に行われます。作るお米も石垣島は一般的な「うるち米」、遠別町は「もち米」。お米はせんべい、上新粉、赤飯、餅といろんなものに形を変えて味を調合していくことができます。日本のお米は、南の石垣島から、北の遠別町まで、沢山の種類がそれぞれの地域で作られています。日本全国の味をひとつひとつ味わってみると、その土地が持っている味が感じられるのではないでしょうか。

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    9 mins
  • EP. 595『@おいしさ、磨く 、其ノ二 - 「おいしさ」の背景、磁器と陶器』
    Mar 31 2026

    先日、石川県加賀市で、かつての教え子にお願いして講演会を開きました。

    書家の彼は、一緒に行ったお寿司屋さんで出されたお刺身がのった「九谷焼」のお皿を見て、こんなことを言いました。「なんとお刺身の映えるお皿でしょう」と。この時「器は味を変えている」と思いました。着るものによって人が変わるように。日本には磁器の文化と陶器の文化があります。磁器は冷えやすく温度がすぐに変わるので、冷菜や酢の物、お刺身などに向いています。陶器は熱を抱えてゆっくり温度を下げるので、煮物や汁物など優しく温かさを届けてくれます。SNSなどの写真を眺める時、どういう器に盛り付けられているのかなどを注意してみるのも楽しいです。味の世界、器の世界は無限の組み合わせが可能です。この組み合わせを楽しむのも新しい料理の楽しみ方です。

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    9 mins
  • EP. 594『@おいしさ、磨く 、其ノ一 - ちゃんぽん、混ぜて出てくる新しい味』
    Mar 30 2026

    ちゃんぽんという言葉は、「混ぜる・混合する」という意味があります。今でも長崎では「何でもちゃんぽんにすればよかたい」といった言い方が残っています。組み合わせによって味の方向が決まります。ローリエを入れればフレンチ風、トマトならイタリアン、だしや味噌なら和風といった具合です。最近はその手助けをしてくれるのがAIです。冷蔵庫にある食材を伝えると、和風・洋風などの提案をしてくれて、料理の幅が広がる。特に年配の方から「料理が楽しくなった」という声も増えています。長崎の丸山にある「花月」では、幕末の志士たちが卓袱料理を囲みました。和洋中が一つのテーブルに並び、皆で分け合うそのスタイルは、まさに“ちゃんぽん”。異なるものを混ぜることで新しい価値が生まれる。その発想は、これからの季節、新しい一歩を踏み出すヒントにもなりそうです。

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